喘息のはなし

喘息の治癒率〜大人の喘息は治りにくい

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喘息の治癒率

喘息の治療を続けている人にとって『喘息は治るのか』『いつまで治療が続くのか』ということは、大きな関心ごとの一つだと思います。 また、特に喘息と診断されたばかりの患者さんにとっては、喘息って治る病気なのかどうかが、一番気になることなのではないでしょうか。

よく、「子どもの喘息は治りやすいが、大人の喘息は治らない」と聞きます。 ネットでもそういう情報が多く見つかるでしょう。

この記事では、実際の「子どもの喘息の治癒率」「大人の喘息の治癒率」の研究結果をご紹介し、どうして大人の喘息は治りにくいのかを解説していきます。

子どもの喘息の治癒率

子どもの喘息の治癒率について、アメリカの論文アーカイブを調査しました。 いくつかヒットしましたが、「PMC」という論文アーカイブに掲載されていた論文からご紹介します。 PMCは「アメリカ国立衛生研究所(NIH)」の部署の一つである「国立生物工学情報センター(NCBI)」が運営している論文アーカイブで、誰でも無料で読むことができます。

調査の概要

調査は、119人のアレルギー性小児喘息の患者を対象に行われました。 調査開始時点の年齢は5歳〜14歳で、32歳〜42歳になったときに喘息の状態がどう変化したかが、追跡調査の形で調べられました。

調査結果に出てくる用語の解説

調査結果をご紹介する前に、調査結果に出てくる用語の解説をします。

  • 完全寛解:
    喘息症状が無く、吸入ステロイドを使用せず、肺機能の「1秒率」が90%超である状態。
  • 臨床的寛解:
    喘息症状が無く、吸入ステロイドを使用しない状態。

調査結果

被験者が、32歳〜42歳になった時の喘息の状態です。

  • 完全寛解:22%
  • 臨床的寛解:30%

アレルギー性小児喘息の52%は、成人になった時には吸入ステロイドを使用しなくても良い状態になっている、という結果になっています。

大人の喘息の治癒率

大人の喘息の治癒率についての調査結果も、「PMC」に掲載されている論文からご紹介します。

調査の概要

調査はスウェーデン北部で行われました。 1986年に最初の調査が行われ、10年後の1996年に追跡調査をする形で、喘息の状態がどう変化したか調べられました。

調査結果に出てくる用語の解説

この調査では「寛解」を以下のように定義しています。

  • 寛解:喘鳴を繰り返すことが無く、息切れが無く、喘息薬の使用が無い状態。

調査結果

  • 喘息だった人の寛解:6%
  • 喘息の疑いがあった人の寛解:22%
  • 平均年間寛解率:1%未満

この調査では『中年と高齢の被験者では、喘息の寛解、またはその症状の消失は、ほとんど見られなかった』と結論づけています。

調査結果の違い

上記の調査結果を見ると、子どもの喘息の治癒率は52%で、大人の喘息の治癒率は6%ですから、一見子どもの喘息の方が圧倒的に治りやすく見えるのですが、調査対象に大きな違いがあります。

子どもの喘息の調査では「アレルギー性の喘息」を対象にしているのに対し、大人の喘息の調査では「アレルギー性喘息」に限っていません。

そのため、単純な比較はできないのですが、調査対象がそのようになったのには理由があります。

小児喘息の大半はアレルギーが原因

厚生労働省の資料によると、小児喘息の70%〜90%はアレルギーが原因になっている「アトピー型喘息」です。

そのため、小児喘息について調査を行う場合は、必然的にアトピー型喘息に対しての調査になるわけです。

成人喘息の多くは非アトピー型

アトビー型が多い小児喘息に対して、大人の喘息はアレルギーが原因ではない「非アトピー型」の割合が大きくなります。

厚生労働省の資料では、大人になってから発症した喘息のうち、アトピー型喘息の割合は19.7%となっています。

そのため、大人の喘息について治癒率の調査を行う場合は、アトピー型に限ることはできないわけです。

大人の喘息が治りにくい理由

大人の喘息が治りにくい大きな理由の一つは、「非アトピー型」が多いという成人喘息の特徴にあります。

非アトピー型喘息は対処しづらい

アトビー型喘息という診断を受けた場合、喘息を引き起こす「アレルゲン」も判明します。(私の場合はネコです)

アレルゲンが特定できれば、「なるべくアレルゲンを避ける」という対処が可能です。 吸入ステロイドなど薬による治療に加え、アレルゲンを避ける生活をすれば、喘息発作のリスクを下げることができ、喘息難治化の原因になる「気道リモデリング」のリスクも下げることができるでしょう。

しかし、大人の喘息に多い非アトビー型は、『原因がはっきりしない』『原因が分かっても対処しづらい』喘息であるために、薬で治療する以外の対処が難しいのです。

例えば、天候が悪くなると調子が悪くなるタイプの喘息がありますが、気圧の低下は避けようがなく、薬で対処せざるを得ません。

非アトビー型喘息は、薬による継続した治療が必要なケースが多いために、『大人の喘息は治癒しない』というイメージが強いわけですね。

子どもの場合、喘息以外のアレルギーも軽快していくケースが多い

子どものアレルギー症状は、喘息に限らず成長するにつれて軽快していくケースが多いことが知られています。

例えば、子どもの頃はアレルギーで食べられなかった物が食べられるようになったり、アトピー性皮膚炎が軽減していったりします。

誤:大人の喘息は治らない
正:大人の喘息は治りにくい

大人の喘息の治癒率の調査結果にあるように、大人の喘息でも無治療・無症状の寛解状態になるケースもゼロではありませんので、『大人の喘息は治らない』と言うよりは、『治りにくい』と言った方が正しいでしょう。

でも、ただ「治りくい」ではなく、「とても治りにくい」という表現がピッタリする感じがしますね。

私の喘息は、ネコ・アレルギーが中心原因のアトピー型ですが、診断から10年経過しても薬が必要な状態で、寛解には至っていません。 一時期、吸入ステロイドを隔日に減らせたのですが、現在は一日一回の吸入に戻っています。 私の場合も、治療しなくて良い寛解状態になることは、おそらく難しいのではないかと思っています。 でも、薬を使いながらでも、普通の生活ができればそれでいいかな、と思っています。

※この記事では、寛解することを治癒と表現しています。

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