喘息のはなし

喘息死-2015

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喘息死データ2015

2015年のデータより新しいデータがあります。

2016年の喘息死データ

喘息は発作によって死亡することもある病気です。

でも「喘息は死ぬ可能性がある病気」と知っているのは、喘息患者さんとその家族、医療関係者くらいで、喘息のことを良く知らない一般の人は、死亡するリスクがある病気だなんて知らない人がほとんどではないでしょうか。 私も自分が喘息と診断されてから、死亡することもある病気と知りました。

喘息の患者さんとその家族としては、喘息死の推移などのデータを知りたいところだと思います。 私も知りたいので調べてみました。

喘息死の推移

最初に、喘息で亡くなってしまった方の人数の推移を見てみましょう。

政府統計の窓口に掲載されている喘息死の年次データを元に、1980年から2015年までの、喘息死亡者数の推移をグラフにしました。(エクセルにデータを打ち込んで、グラフを作成しました。)

喘息死の推移グラフ
喘息死推移グラフ
年間死亡者数(人) 一日あたりの死亡者数(人)
1980年6,37017.5
1981年6,29117.2
1982年6,05016.6
1983年6,59318.1
1984年6,11716.8
1985年6,34017.4
1986年6,35817.4
1987年6,03716.5
1988年6,15716.9
1989年5,80815.9
1990年5,94716.3
1991年5,94116.3
1992年5,92916.2
1993年6,21017
1994年5,85516
1995年7,25319.9
1996年5,99516.4
1997年5,66115.5
1998年5,14814.1
1999年5,40114.8
2000年4,47312.3
2001年4,01411
2002年3,77110.3
2003年3,70110.1
2004年3,2839
2005年3,1988.8
2006年2,7787.6
2007年2,5407
2008年2,3486.4
2009年2,1395.9
2010年2,0655.7
2011年2,0605.6
2012年1,8745.1
2013年1,7284.7
2014年1,5504.2
2015年1,5114.1

※1日あたりの死亡者数は、年間死亡者数を365で割り、小数点第二位を四捨五入しています。

喘息死は減り続けています

喘息死の推移グラフを見ると明らかですが、2000年くらいから、喘息死は減り続けています。

1980年〜1996年くらいまでは、毎年6,000人前後の方が、喘息で死亡していましたが、2015年は約1,500人となっていますので、約四分の一に減少しています。

詳細は後ほどご紹介しますが、喘息死が減少しているのは、吸入ステロイド薬による、「慢性的な気管の炎症」をターゲットにした長期的な喘息コントロールによる治療効果と言われています。

1995年に何があった?

喘息死の推移グラフを見ると、1995年の喘息死亡者数が突出しています。

1995年には、何か特別なことがあったのでしょうか?

実は、1993年と1995年に、インフルエンザの大流行がありました。 特に1995年は、「A香港型」「B香港型」「Aロシア型」の3種類のウィルスが流行しました(1993年は2種類)。

1995年に喘息死亡者数が多いのは、インフルエンザの大流行が影響しています。

男女別の喘息死の推移

次に、男女別の喘息死の推移を掲載します。

男女別・喘息死の推移グラフ
喘息死推移グラフ・男女別

グラフ上、ブルーの軸が男性の死亡者数で、ピンクの軸が女性の死亡者数です。

男性の死亡者数(人) 女性の死亡者数(人)
1980年3,8702,500
1981年3,7452,546
1982年3,6242,426
1983年3,9382,655
1984年3,6082,509
1985年3,7762,564
1986年3,6582,700
1987年3,4852,552
1988年3,5962,561
1989年3,3022,506
1990年3,4122,535
1991年3,3822,559
1992年3,3082,621
1993年3,4632,747
1994年3,3102,545
1995年4,0523,201
1996年3,3082,687
1997年3,0272,634
1998年2,7482,400
1999年2,8422,559
2000年2,3002,173
2001年2,0861,928
2002年1,8721,899
2003年1,8461,855
2004年1,5761,707
2005年1,5651,633
2006年1,2901,488
2007年1,1351,405
2008年1,0851,263
2009年934 1,205
2010年898 1,167
2011年845 1,215
2012年769 1,105
2013年6941,034
2014年590960
2015年573 938

全体の死亡者数同様、2000年頃から減少しつづけていますが、興味深いのは、2002年から男女の死亡者数が逆転したことです。

1980年から1999年頃までは、男性の死亡者数の方が目立って多い状態です。 しかし、よく見ると、男性のグラフは緩やかながらも減少傾向にあるの、女性のグラフは横ばい状態となっています。 2000年以降、男女とも死亡者数は減少していますが、男性の方が減少率が大きく、女性の減少率は男性よりも緩やかです。

そして、2002年に女性の死亡者数が男性より多くなって以降、女性の死亡者数が男性より多い状態が続いていて、年々差が広がりつつあります。

月別喘息死亡者数

月によって喘息の死亡者数に大きな違いがあるのか調べてみました。

1980年から2015年までの、各月毎に喘息死亡者数を合計し、円グラフにしてみました。

月別・喘息死の割合グラフ
喘息死・月別グラフ
死亡者数(1980年〜2015年の合計)
1月19,301
2月16,994
3月16,577
4月14,598
5月13,845
6月11,516
7月11,245
8月10,672
9月10,252
10月12,199
11月12,632
12月14,663

喘息死が一番多い月は1月で「19,301人」、一番少ない月は9月で「10,252人」でした。 グラフで見ると「夏は少なく、冬に多い」という傾向が見えます。 やはり、冬場は風邪・インフルエンザ・乾燥など、呼吸系の病気を抱えている人にとって厳しい時期です。

年齢別喘息死亡者数

1995年〜2015年の喘息死亡者について、

  • 0歳〜14歳
  • 15歳〜29歳
  • 30歳〜44歳
  • 45歳〜59歳
  • 60歳〜74歳
  • 75歳〜89歳
  • 90歳〜

の年齢階層別に、死亡者数の割合を調べました。 以下がそのグラフです。

年齢階層別・喘息死の割合グラフ
年齢階層別・喘息死の割合グラフ
年齢 死亡者数(1995年〜2015年の合計) 割合(%)
0歳〜14歳5350.7
15歳〜29歳1,2751.8
30歳〜44歳2,1843
45歳〜59歳4,6866.5
60歳〜74歳15,44321.3
75歳〜89歳36,11649.8
90歳〜12,24216.9

※「年齢不詳」の死亡者:10人は、含めていません。

年齢別の喘息死亡者数集計は、死亡者数を単純に集計したもので、人口は考慮していません。

喘息による死亡者は、75歳以上の死亡者数が全体の66%以上を占め、60歳以上でみると88%を占めていて、「高齢者が多い」状況です。

高齢の方は体力的に喘息を悪化させやすいリスクがあるのは明らかです。 また、現在高齢の方は「吸入ステロイド」の恩恵を受けられた期間が短いことが、高齢者の喘息死が多い理由の一つという見方もできるかもしれません。 現在「吸入ステロイド」で喘息のコントロールを行っている若い人がやがて高齢になった時、状況は変わっている可能性もあります。

喘息死前は重症だったとは限らない

厚生労働省の資料によると、成人喘息の喘息死前の喘息重症度の割合は、以下のグラフのようになっています。

喘息死前の喘息重症度の割合グラフ
喘息死前の喘息重症度の割合グラフ

グラフを見てみると、もちろん「重症」の方の死亡割合が一番高いのですが、重症以外の死亡者数も無視できない割合です。 中程度の症状の方や軽症の方でも、喘息死してしまう可能性があることは、本人も周りの方も認識しておいた方が良いことでしょう。

喘息死を防ぐために

厚生労働省が推進している「喘息死ゼロ作戦」の資料には、次のようなことが書かれています。

喘息死の予防には、気道の炎症を標的にした長期管理の治療が有効と考えられます。

そして、吸入ステロイド薬は、炎症を抑制する効果が最も強力で確実な薬剤として位置づけられています。

吸入ステロイド薬をベースにした長期管理を実行することにより、気道の炎症は抑えられ、良好な喘息コントロールがもたらされます。

吸入ステロイド薬の使用が喘息死を予防することは、ステロイド薬の普及率と喘息死とが反比例することから広く認められています。

喘息死の推移グラフで2000年以降に喘息死が減少し続けているのは、吸入ステロイド薬の普及による効果と考えられています。

現在、喘息の治療を受けている方は、吸入ステロイド薬がベースのコントローラーを使われていると思います。 喘息コントロール薬は長期にわたって使用していくため、ついつい忘れてしまったり、おろそかになってしまいがちですが、医師の指示に従って、しっかり吸入していくことが、喘息死を防ぐために大切なことです。

当記事に掲載している喘息死の推移などのデータは、総務省・統計局の「政府統計の総合窓口」に掲載されているデータを元に集計を行いました。

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