喘息のはなし

喘息の薬の種類〜ステロイドから分子標的薬まで

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喘息の薬

喘息の治療薬は、発作が起きていないときに使う「長期管理薬(コントローラー)」と、発作が起きてしまった時に使う「発作治療薬(リリーバー)」の2段構えの構成になっています。

この記事では、喘息の薬の種類を、コントローラーとリリーバーそれぞれで、解説していきます。

長期管理薬 - コントローラー

長期管理薬は「コントローラー」とも呼ばれます。 長い視点で喘息の原因となっている炎症を抑えることで、喘息発作を起こさないようにコントロールすることが目的の薬です。

長期管理薬にもいくつかの種類があります。

ステロイド薬

「ステロイド」は、炎症を抑える力がとても強い薬で、アトピー性皮膚炎の治療薬としても有名です。

喘息の治療に対しては「吸入ステロイド薬」と「経口ステロイド薬」があり、長期管理薬としては「吸入ステロイド薬」が第一選択となっています。

ステロイド薬の例

  • フルタイド(フルチカゾン)
  • キュバール(ベクロメタゾン)
  • パルミコート(ブデソニド)
  • オルベスコ(シクレソニド)
  • アズマネックス(モメタゾン)
  • プレドニン(プレドニゾロン)

吸入ステロイドと経口ステロイドの違い

吸入ステロイドと経口ステロイドには、次の表のような違いがあります。

吸入ステロイド 経口ステロイド
使い方 吸入 内服
適用 喘息患者全般 中程度の発作
比較的重症の方
ステロイドの量 少ない
マイクログラム単位
(1グラムの100万分の1)
多い
ミリグラム単位
(1グラムの1,000分の1)
作用 局所 全身
(血液に乗って全身に作用)
効果があらわれる
時期
2〜4週間後 数時間後
いつ使う? いつでもOK 「朝」使用するように処方されることが多い

経口ステロイドは効果が短時間であらわれるため、中程度の発作が起きている時や比較的重症の方に対して、β2刺激薬と一緒に使用されることが多いです。

吸入ステロイドは直接気管に薬が届くため、経口ステロイドよりもステロイドの量が少なくて良いのが特徴です。

ステロイド薬の副作用

ステロイド薬は、『強い薬で、副作用も強い』という印象があるため、使用するのにためらいを感じてしまい方も多いのではないでしょうか。

喘息の治療に使われるステロイド薬については、副作用の心配をする必要は無いと言われています。

特に吸入ステロイド薬は、

  • 含まれるステロイドの量が極めて少ない(少なくても効果が得られる)。
  • 吸い込んだ時に、胃の方へ行ってしまった薬は、肝臓で速やかに分解される。
  • 血流に乗って全身に作用してしまうことが無い。

上記のことから、全身性の副作用はほとんどありません。 ただし、吸入ステロイドは喉に付着したままにしておくと「口腔カンジダ症」などの副作用のリスクがありますので、「うがい」をする必要があります。

ステロイド薬は喘息のコントロールにとても有効な薬なので、副作用の心配はせず、医師の処方に従って忘れずに使用しましょう。

長時間作用型β2刺激薬

長時間作用型β2刺激薬は、主に気管支を広げる働きをする薬です。

喘息のコントロール薬としては、「吸入ステロイド」を基本とし、長時間作用型β2刺激薬を追加・併用する位置づけになっています。

長時間作用型β2刺激薬の気管支拡張効果は、吸入後15分程度であらわれ、12時間以上持続すると言われています。

長時間作用型β2刺激薬が単剤で使用されることはありません。 喘息の長期管理薬は、あくまで「吸入ステロイド」が中心で、吸入ステロイドだけではコントロールが難しい場合に長時間作用型β2刺激薬の追加・併用が検討されます。

長時間作用型β2刺激薬の例

  • セレベント(サルメテロール)

ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の配合薬

ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の両方が入っているハイブリッド薬です。

配合薬のメリットは、なんと言っても「気管支の炎症を抑えるステロイド薬」と「気管支を拡張する長時間作用型β2刺激薬」の両方を、一度の吸引で吸うことができる点です。

配合薬が登場するまで、「ステロイド薬」と「長時間作用型β2刺激薬」をそれぞれ吸入しなければなりませんでしたが、配合薬の登場で面倒が減りました。 現在、このタイプの薬を使用している方が多いのではないでしょうか。

配合薬の例

  • アドエア
    アドエア
  • シムビコート

ロイコトリエン受容体拮抗薬

「ロイコトリエン」はアレルギーに関係している物質で、喘息患者では気管や血液中の「ロイコトリエン」が増加していることが分かっています。 「ロイコトリエン受容体拮抗薬」は、「ロイコトリエン」の働きを抑えることで、気道の炎症を抑える効果があります。

ロイコトリエン受容体拮抗薬は錠剤ですので、吸入薬を使用することが難しい小児喘息に対して利用されることが多い喘息薬です。

ロイコトリエン受容体拮抗薬の例

  • オノン(プランルカスト)
  • シングレア(モンテルカスト)
  • キプレス(モンテルカスト)

テオフィリン徐放製剤

テオフィリン徐放製剤は、「テオフィリン」という薬が、ゆっくりと溶け出すように作られた薬です。

テオフィリンは「炎症を抑える働き」と「気管支を拡張する働き」の両方を持つ薬で、1950年代以降「テオフィリン製剤(徐放製剤ではなく製剤)」が、喘息のメインの薬として使用されていた時代がありました。

しかし、テオフィリン製剤は「有効血中濃度が狭い」薬で、扱いが難しいという面がありました。 どういうことかというと、血中濃度が高くなり過ぎると頭痛や吐き気などの副作用があらわれやすく、血中濃度が低すぎると効果が無いという薬で、「ちょうど良い」という血中濃度の「幅」が狭い薬だったのです。

テオフィリン徐放製剤は、テオフィリンが胃の中でゆっくりと溶け出すように改良した薬で、血中濃度が急に上がったり下がったりせず、なるべく一定の濃度を保つように設計されています。

テオフィリン徐放製剤の例

  • テオドール

抗IgE抗体

抗IgE抗体は「分子標的薬」と呼ばれるタイプの薬です。 喘息に対する分子標的薬は1990年代後半から臨床試験が始まり、欧米諸国を中心に多くの国で承認されています。

日本では、2009年3月から、吸入ステロイドなど従来の治療では十分なコントロールが得られない「難治性喘息」に対して使用が可能になっています。

喘息治療としての分子標的薬は新しいタイプの薬ですが、有効性と安全性は確認されています。
デメリットとしては「値段が高い」ということがあります。

抗IgE抗体の例

  • ゾレア(オマリズマブ)

発作治療薬 - リリーバー

喘息発作

リリーバーは喘息の発作が起きてしまった時に使用する薬で、いわば「救急用の薬」です。 速やかに気管支を拡張する働きをします。

発作治療薬にもいくつかの種類があります。

短時間作用型β2刺激薬

短時間作用型β2刺激薬は、交感神経を刺激して気管支を広げる働きをする薬で、リリーバー薬の第一選択になっています。 即効性があり、吸入してから数分で効果があらわれます。

短時間作用型β2刺激薬の例

  • サルタノールインヘラー
    サルタノールインヘラー
  • メプチン

テオフィリン薬

テオフィリン薬は、気管支の筋肉の弛緩(ゆるめる)作用で、気管支を広げる働きがあります。

コントローラー薬のところで解説しましたが、テオフィリンは血中濃度に注意が必要な薬で、テオフィリンをリリーバーとして使用する際は、病院で点滴注射で投与されることがほとんどです。

短時間作用性抗コリン薬

短時間作用性抗コリン薬は、気管を収縮させる働きがある「アセチルコリン」という物質の働きを阻害して、気管を広げる働きをするタイプの薬です。

アセチルコリンは、体がリラックスした時に働く「副交感神経」の働きで生まれる物質です。

リラックス状態なのに気管が収縮するとは、何か逆の感じがしますが、リラックスするということは、体が必要とする酸素は少なくて済む状態です。 逆に交感神経が優位になる「興奮状態」は、酸素が多く必要になるために気管支は広がるわけです。

気管支喘息の治療としては、抗コリン薬よりも「短時間作用型β2刺激薬」の方が多く用いられています。

ステロイド薬

コントローラーとしても使用されるステロイドですが、リリーバーとして使用する場合は、内服薬または点滴で投与されることがほとんどです。

リリーバー? レリーバー?

喘息の発作治療薬は、英語では「reliever」と表記し、直訳すると「救済者」「緩和するもの」となります。

スペルを見ると、「リリーバー」とも読め「レリーバー」とも読めますが、当サイトでは「リリーバー」というカタカナ表記に統一しました。

その理由は、発音記号を見ると「rilí:vər」となっていて。 カタカナでしっかり書くと「リィ - リィー - ヴァ」となるからです。

リリーバーを頻繁に使う場合は・・・

喘息の発作治療薬・リリーバーをたびたび使用しなければいけない状態は、「コントロールが不十分」ということを意味します。

そのような場合は、コントローラー薬をステップアップする必要があるかもしれませんので、かかりつけ医に相談する必要があります。

まとめ:コントローラーを忘れずに使用することが大切

喘息の薬の種類を解説してきました。 コントローラー薬の種類にも、いろいろなタイプがありますね。 それだけ治療の選択肢も多いということですので、喘息患者にとってメリットがあります。 また、新しいコントローラー薬である「分子標的薬」にも、今後に期待して、注目していきたいです。

喘息の方はコントローラーを使用していると思いますが、医師の処方に従って、忘れずに継続して使っていくことが大切です。

番外編:アドエアの使い方

私は喘息の長期管理薬に「アドエア」を基本的に毎日1回吸引しています。 風邪などで調子が悪い時は、1日2回吸引します。

ご参考までに、アドエアの使い方をご紹介します!

アドエア正面

アドエア正面

アドエア正面です。 「100」というのは薬の量で、アドエア・シリーズの中では、薬の量が一番少ないタイプです。「60」というのは使用回数で、60回吸えるということです。

アドエア裏面

アドエア裏面

アドエア裏面です。

アドエア残量カウンター

アドエア残量カウンタ

画像で「12」と見えているのは使用可能回数です。 この状態では、あと12回吸うことができます。 使うたびに自動的に表示が減っていき、「0」になったらおしまいです。 「0」になると、吸おうとしても吸うことができず(抵抗がある)、薬が無くなったことに気付くような仕掛けがしてあります。

アドエアの吸入口を開いているところ

アドエアの吸入口を開いているところ

吸入するために、アドエアの吸入口を開きます。 写真は開いている途中です。

アドエアの吸入口を開くレバー

アドエアの吸入口を開くレバー

このレバーをスライドして、吸入口を開きます。 このレバーは、吸い終わって本体を閉じると、自動的に元の位置に戻ります。

アドエアの吸入口

アドエアの吸入口

アドエア吸入口のアップです。 ここを口でくわえて、なるべく速いスピードで、思いっきり吸います。

薬が喉に付着したままだと「カンジダ」というカビの一種が生える副作用があるので、よく「うがい」をします。

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